Sunday, 03 April 2016

「理由」を理解しなければ、「テロとの戦い」も終わらない

"더 테러 라이브 The Terror Live"  『テロ,ライブ』 (2013年韓国)


※ネタバレありますので、内容を知りたくない方はご注意下さい。


思っていた以上に重い映画でした。
もっとエンタテイメント性が強い映画なのかなと勝手に想像していたのですが。
重い内容。
主人公は"추격자" 『チェイサー』 (2008年韓国)で悪人を好演したハ・ジョンウ。

アナウンサー ユン・ヨンファ(ハ・ジョンウ)の生放送ラジオ番組に「パク・ノギュ」と名乗る人物から橋梁爆破の犯行予告電話が入る。
ヨンファは「いたずら電話」と相手にしなかったが、直後に近くの麻浦大橋で爆破テロが起こる。

このテロのスクープを利用してラジオからTV番組キャスターへの返り咲きを目論むヨンファ。
ここから否応無しに事件の渦に巻き込まれて行く彼を待ち受ける、思わぬ運命。

リアルタイム演出により、実際のニュース番組LIVE映像のような緊迫感溢れる作品になっています。

ジュ警察庁長官(キム・ホンパ) 「政府はテロリストと交渉しない」。
これは日本政府の立場と同じですな…。

ヨンファらのニュース番組に出演したジュ長官のイヤホンに小型爆弾が仕掛けられており、生放送中に犯人が爆発させ長官の頭が吹っ飛んだ…。
結構えげつない場面がありましたがR指定は付いていません。
それどころか、「G」らしいです、まじか。

しかし、局でアナウンサーが使っているイヤホンに爆弾を仕掛けることができたということは局内の人間もしくは局に出入りしている人間だろう、とこの時点では推理していましたが<犯人。

ヨンファの上司 チャ報道局長(イ・ギョンヨン)えげつない…。
この人は視聴率と自分の出世のことしか考えていない。
ヨンファは今回のテロ・スクープをネタにTVキャスター復帰を局長に約束させるが、結局はヨンファの方が彼に利用されていたのだった。

爆破に遭った麻浦大橋が崩壊し、ヨンファの元妻で記者のイ・ジス(キム・ソジン)も犠牲になった。
絶望的なシーンです。
これはフィクションだけれどもへこむ…。

次に、犯人がヨンファらのTV局ビルの隣のビルを爆破し、隣のビルが倒れ掛かってTV局ビルも傾いた…何という映像。
本当に、前述の橋の崩壊とビルが倒れ掛かる映像は、あまりにも真に迫る衝撃映像です。

しかし、終盤に全ての事情が分かると切なくなります。
テロを起こす者にもそれだけの理由があるのです。

犯人は「パク・ノギュ」の息子 パク・シヌ(イ・デイヴィッド)でした。
麻浦大橋補修工事中に足場崩壊事故で川に落ち、救助されることなく亡くなった父親ら3人の作業員への大統領の謝罪を求めていた。
当時、政府からの補償や謝罪は一切無かったらしい。
終盤、シヌの言葉が胸に迫る。

ヨンファ 「何故だ。どうしてお前は俺を選んだ?」

シヌ 「親父は…あんたのニュースを見てた。理由?『信頼できるから』だと。馬鹿だよな。奴隷みたいに働かされ死んじまった。だから親父の名で謝罪を求めたんだ。一言謝るのがそんなに難しいことか?」

世の中の大抵のものは正義か悪、白か黒、と単純に分けられるものではない。
特に「正義」と「悪」は立場や見方によって180度も変わる。
我々はよく「テロとの戦い」や「テロに屈しない」等と言う。
テロ行為は間違っているということは間違いない。
しかし、テロを起こす者にもそれだけの理由があるのだ。
決してテロを正当化する訳ではない。
けれどその「理由」を理解しなければ、「テロとの戦い」も終わらないと思う。

なお、つっこみ所は色々あります。
「何故一般の若者がTV局でアナウンサーが使っているイヤホンに爆弾を仕掛けることができたのか?」、
「麻浦大橋にしてもビルにしてもあれだけ大きな爆破を起こすには相当量の爆薬・爆弾が必要。それをシヌはどこでどうやって入手、また一人でどうやって現地に仕掛けたのか」、
「不審な若者が不審物を運んで出入りできる現地ビルのセキュリティはどうなってる?」等。
まあしかしそういったことは置いといても、この映画はテロを描いて真に迫ったよくできた作品だと思いました。
posted by みのり at 05:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする